1-2 病名を伝えるべき人 伝えない人

病名の宣告 病気の記録

病名を告知されてから考えたことは、まず仕事のこと

シングル、アラサーなので、病名をわざわざ告げなければいけない人々は、私の治療、入院で迷惑をかけ、影響を与える人だけ、と決めていました。

職場には、これから検査があり、診察があり、通院でお休みを頂かなくなてはならないし、入院生活も待っている。

別に重要ポストを任されているわけではない一介の事務職だけど、電話受付、来客対応、伝票作成、受注発注、入出金管理、宅配手配など、事務員一人なので、いなければ業務に支障をきたします。

闘病ブログを読むと、数か月単位で入院している人もいるかと思えば、結構早く復職している人もいる。お先真っ暗とは思わないけれど、先が見えないのは事実。

とりあえず翌日、上司、同僚全員がそろっている時間に「残念なお知らせがありまして、昨日病院へ行った結果、悪性リンパ腫という病気と言われました」と、いたって普通に説明。

本当は上司に話をするだけにしようと思ったのだけど、少人数の職場なので一度で話した方が面倒くさくなくていいや、と思ったのでこのスタイルにしました。

主治医から病名宣告を受けた時と変わらず、病気の深刻さと体感的な痛みの実感がないこともあり、自分の病気のことより、みんなに迷惑をかけてしまう申し訳なさの方に意識が向いてしまい、「インフルエンザになりました。申し訳ありませんがお休みを頂かなくなくてはならなくなりました」と言った時の方がよりリアルな重い感情だったと思います。

「まじか」と驚く面々に、これからいろいろ検査があるので、通院にお休みをいただくことと、こりから最短2週間、場合によっては長期入院になるかもしれないけれど、どんな感じになるのかは、検査後の結果次第でまだまったく分からないことを正直に話しました。

何カ月もという状況になったら離職も考えなくてはいけないことも当然念頭に置いたのは、言うまでもありません。

母親に病名を告げないと決めた理由

次に、考えたのは母親のこと。

父はすでに他界して久しく、80歳近い母親は近郊の病院に長期療養入院をしていて、私は週に数回面会に通っていました。

年のわりには記憶力、判断力も良く、テレビのビデオ録画もこなすので、日々見ているテレビのワイドショーの内容を電話や会った時に「お母さんニュース」として伝えてくれるほどです。

競泳の池江璃花子選手の白血病の話も、折あるごとに話題にしていたので、どう伝えようかが悩みどころでした。

「悪性リンパ腫」と伝えたところで、母親はベッドの上から動けるわけでもなく、おそらく心配するだけなのは想像に難くありません。
なので、健康診断で「リンパの病気」とわかったから、治療をするために入院治療をすることになった、とだけ伝えました。

あとは、車で30分内に住む弟に病名の報告と入院中に母親への面会と面倒を依頼しました。肉親というものは正直なもので、「お金は大丈夫なの? ローンとか残ってないの?」とまずは金銭の心配から入ってきます。
当然「面倒は見るよ。安心してくれ」ではなく、「こっちに負担はかけないよね?」という心が透けて見えるお言葉。

本人にそのつもりはないのだろうけれど、「大丈夫、姉にはきちんと届いている」と、心の中で苦笑いを浮かべていました。

病気だと告げない理由

病名を宣告される以前からユーチューブで斉藤一人さんの動画をよく聞いていたのですが、その中に

まわりにいる人に「わたし、病気です」言ったところで心配させるだけ。相手は治すことはできないのだから、治せない人に「病気です」とか言っても相手に心配かけるだけ。
という言葉があり、とても印象に残っていました。
だから、「病気です」と告げる必然性がある相手には告げ、必要がない相手には告げないという選択肢をとりました。
「余命」を告げられていたならば、さすがに母親に話をしなければいけないわけですが、大手術をするわけでもなく、「治る」と何故か思っている自分がいる以上、必要のない心配を入院中の高齢の母親にさせたくないというのが理由です。
もちろん、弟にもその辺は釘を打っておきました。
友人たちには、会った時のタイミングで話すかどうかを決めようと思っている水臭い奴、です。